海外取引を行う上で欠かせないのが輸出入手続きです。
ここでは、国際物流の基本となる**インコタームズ(Incoterms)**から、船便・エア便の運送方法、そして実際の輸出入手続きの流れまでを整理して解説します。基本事項が中心となりますが、しっかり押さえていただければ、全体像が見えてくると思います。


新日常英語コース 英会話セットプラン
1. まずはおさらい:インコタームズ(Incoterms)
貿易条件を国際的に標準化したルールがインコタームズです。
「どこまでを売り手が負担し、どこからを買い手が負担するか」を明確にするために使います。
用語 | 読み方 | 意味・ポイント |
---|---|---|
EXW | エックスワークス | 工場渡し。輸出者は自社工場で引き渡すのみ。輸送・保険などはすべて買い手負担。 |
FOB | エフオービー | Free On Board:本船渡し。輸出者は船に積み込むまでを負担、それ以降は買い手負担。 |
CFR | シーエフアール | Cost and Freight:運賃込み。本船積込と運賃までを輸出者が負担、保険は買い手負担。 |
DAP | ディーエーピー | Delivered At Place:指定場所渡し。輸入者側の指定地まで輸出者が手配・負担する。 |
💡 ポイント
- 輸出者と輸入者の責任範囲を明確にし、トラブルを防ぐために必須。
- 契約書やインボイスに必ず記載しましょう。
2. 運送方法と依頼について
商品の量やコスト、納期によって運送手段を選びます。
2-1. 船便(海上輸送)
大量輸送に適した方法。コストが安い反面、納期は長め。
用語 | 説明 |
---|---|
40FT HQ | 40フィート ハイキューブ。標準40FTより高さが高く、容量が大きいコンテナ。 |
40FT | 標準40フィートコンテナ。 |
20FT | 20フィートコンテナ。小ロット向け。 |
LCL(混載) | 小口貨物を複数社分まとめて1本のコンテナに積載。 |
ポイント
- コンテナ単位で借り切る場合は「FCL」。
- 小口輸送は「LCL」を利用。
2-2. エア便(航空輸送)
納期重視の輸送に最適。
コストは高いがスピード重視の商品に使われます。
- 重量課金は「M3(立方メートル)」で計算。
- 基本は6000で計算しますが、航空会社によっては5000を使用する場合もあるので要確認。
2-3. クーリエ便(国際宅配便)
DHL・FedEx・UPSなどを利用する方法。
- サンプル品や少量輸送に便利。
- 通関手続きも代行してくれるため、手間が少ない。


3. 輸出手続きの流れ
輸出手続きは、輸出者・フォワーダー・船会社など複数の関係者が関わります。
以下は基本的な流れです。
輸出に関わる主な関係者
用語 | 説明 |
---|---|
フォワーダー | 貨物輸送の手配をする業者。航空・海上・通関まで一括管理。 |
乙仲(おつなか) | 通関業務を専門とする業者。 |
船会社 | 実際に船を運航する会社。 |
輸出書類一覧
書類名 | 説明 |
---|---|
Shipping Instruction(S/I) | 出荷指示書。輸出貨物の詳細を記載。 |
Invoice(インボイス) | 請求書。輸出取引の基本書類。 |
Packing List | 梱包明細書。数量・梱包形態などを記載。 |
その他必要書類 | 原産地証明書、SDS(化学品安全データシート)、該非判定書など |
実際の流れ
- S/I(Shipping Instruction)作成
- 輸出者 → フォワーダーに提出。
- フォワーダーがS/O(Shipping Order)を発行
- 船会社へブッキング手配。
- インボイス・パッキングリストを提出
- 商品積み込み
- 自社で積むか、フォワーダーに依頼(別途費用)。
- 出港
4. 輸入手続きの流れ
輸入手続きは、輸出者から必要書類を受け取り、乙仲が通関を行います。
必要書類
- インボイス
- パッキングリスト
- B/L(船荷証券)
流れ
- 書類を乙仲に提出
- 乙仲が通関業務を実施
- 指定倉庫へ輸送
- 商品受け取り
💡 輸入では、基本的に輸入者が新たに書類を作成することはほぼありません。
まとめ
海外取引では、輸出入手続きと書類管理が非常に重要です。
特に初めて輸出入を行う場合は、以下を意識しましょう。
- インコタームズで責任範囲を明確化する
- フォワーダー・乙仲との密な連携
- 書類の不備防止(インボイス、パッキングリストなど)
ポイント:
書類の不備や認識のズレは、輸送遅延やコスト増加につながります。
初めて取引する場合は、必ず事前に担当者とフローを確認しておきましょう。



コメント