第5回:国際輸送の基礎知識 – 船便・航空便・混載便を理解しよう

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海外取引で商品を仕入れる際、輸送方法の選択はコスト・スピード・リスクに直結します。
ここを理解しておかないと、想定外のコストや納期遅れにつながりかねません。

今回は、海上輸送(FCL / LCL)と航空輸送(AIR) を中心に、物流の基本ポイントを解説します。


1. 輸送方法の種類と特徴

海外から商品を輸入する際、主に以下の2種類の輸送手段があります。

輸送手段特徴メリットデメリット
海上輸送(Ship)コンテナを使用。大量輸送向け。FCL(フルコンテナ)、LCL(混載便)がある。大量輸送でコストが安い輸送に時間がかかる(2〜6週間)
航空輸送(Air)飛行機で輸送。納期が早い(1〜7日程度)コストが非常に高い

2. 海上輸送の基本(FCLとLCL)

FCL(Full Container Load:コンテナ単位輸送)

  • 1社で1本のコンテナをまるごと使用する輸送方法。
  • 荷物が多く、コンテナを一杯に使う場合に適している。
  • コストはLCLより割安(単価ベース)。

代表的なコンテナサイズ

コンテナ種類容量目安積載例
20フィートコンテナ約28㎥、最大重量 約21,000kg中規模出荷
40フィートコンテナ約58㎥、最大重量 約26,000kg大規模出荷
40フィートハイキューブ約68㎥、最大重量 約26,000kg嵩張る商品向け

メリット:

  • 他社と混載しないため、破損や紛失リスクが少ない。
  • 荷役がスムーズ。

デメリット:

  • コンテナを満たすだけの荷物がないと割高。

LCL(Less than Container Load:混載輸送)

  • 1本のコンテナを複数社でシェアする輸送方法。
  • 荷物が少ない場合に利用される。

メリット:

  • 少量輸入でも利用可能。
  • 初回のテスト輸入に向いている。

デメリット:

  • 他社貨物と一緒になるため、破損や紛失のリスクが上がる。
  • コンテナの開封・再梱包作業があるため、港での滞留時間が増える。

3. M³(立方メートル)の計算方法

海上輸送や航空輸送のコスト計算では、M³(立方メートル)が重要な基準になります。
荷物の縦・横・高さ
をメートル単位で測り、以下の計算式で求めます。

計算式:

M³ = 縦(m) × 横(m) × 高さ(m)

計算例:

  • 縦:0.50m
  • 横:0.40m
  • 高さ:0.60m
0.50 × 0.40 × 0.60 = 0.12 M³

もし同じサイズの箱が50個ある場合:

0.12 × 50 = 6.0 M³

LCL(混載便)の場合

LCLは1M³あたりいくらという形で料金が計算されます。
例えば、1M³あたり100ドルの場合、6M³なら

100 × 6 = 600ドル

航空輸送の場合

航空輸送では、**重量と容積のどちらか大きい方(課金重量)**で料金が決まります。

計算式:

容積重量(kg)= 縦(cm) × 横(cm) × 高さ(cm) ÷ 6,000

例)50cm × 40cm × 60cm の箱の場合

50 × 40 × 60 ÷ 6,000 = 20kg

実重量が18kgなら課金重量は20kgとなります。

注意:
この「6,000」という係数は国際航空輸送の一般的な基準ですが、
会社によっては 5,000 を採用している場合もあります。
利用するフォワーダーに必ず確認しましょう。


4. 航空輸送(Air Shipment)

航空輸送はスピードが最大のメリット。
サンプル出荷、緊急の納期対応、初回取引など少量・高単価商品の輸入に最適です。

特徴:

  • 発送から到着まで1〜7日程度と早い。
  • 重量や容積によって料金が決定される。
  • 航空貨物は国際空港を経由するため、通関が比較的スムーズ。

コスト目安:

  • 海上輸送の約5〜10倍程度。

5. インコタームズと輸送条件

輸送条件はインコタームズ(貿易条件)によって決まります。
代表的なのが EXW、FOB、CFR です。

用語内容サプライヤー負担バイヤー負担
EXW(Ex Works)工場渡し条件。工場から先はすべてバイヤー負担。工場での商品引き渡しのみ工場→港、積み込み費用、海上運賃、保険料、通関費用などすべて
FOB(Free On Board)本船に積み込むまでがサプライヤー負担。積み込み以降はバイヤー負担。工場→港、港での積み込み費用海上運賃、保険料、通関費用
CFR(Cost and Freight)海上運賃までをサプライヤーが負担。工場→港、積み込み、海上運賃保険料、輸入通関費用

確認例文:

Is the quotation based on EXW, FOB, or CFR?
(お見積もりはEXW、FOB、またはCFRベースでしょうか?)

6. 輸送コストを左右するポイント

  1. 輸送方法の選択
    • 納期が迫っていれば航空便、コスト重視なら船便。
  2. コンテナサイズ
    • 20フィートか40フィートかでコストが大きく変わる。
    • 混載便(LCL)は少量でも利用可能だが、単価が割高。
  3. 輸入港の選択
    • 東京港、横浜港、大阪港など、自社倉庫に近い港を選ぶと陸送費を削減可能。

7. まとめ

  • 船便はFCL(コンテナ単位)とLCL(混載便)の2種類がある。
  • 航空便は早いがコストが高い。サンプルや緊急輸送に向いている。
  • M³計算を理解することで、輸送コストの見積もり精度が大きく向上する。
  • 航空輸送は課金重量の計算係数が6,000基準だが、5,000を採用する会社もあるため要確認。
  • EXW・FOB・CFR は「費用負担の境界線」を明確にする重要な貿易条件。
  • 初回は少量ならLCLや航空便を使い、販売計画が安定したらFCLでコストダウンを狙う。

次回予告

第6回では、「不良品が発生した場合の対応」について解説します。
返品・修理・保証対応でよく使う英文フレーズも紹介予定です。

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